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2020年 – 2023年

2020-2023年

2020年は、誰にとっても大きな節目の年でした。この年は、感染症の大きな影響が世界中に響き渡りましたが、同時にIIEECにとっても、とてつもなく大きな悲しい節目の年となりました。

それは 2020年9月、MATメソッド®考案者、そして私の最愛の母である仲田利津子がこの世を去ったのでした。

同じく2020年、15年にわたり多くの英語教師に受講され、高い評価を得てきた Oxford大学出版局との共催、”IIEEC-OUP Teacher Training Certificate Program” は、感染症の影響で春セッションは中止となり、秋セッションは過去の記録動画の編集を動画配信するという形で開催することになりました。はからずも仲田の逝去の直後となった悲しみの中の開催でしたが、15年間で初のオンライン開催にも関わらず、ほとんどの受講者に満足いただき、オンラインプログラムの大きなメリットを確認することができました。しかし、2021年以降の再開の目処が立たず、このプログラムは一時中止せざるを得ませんでした。

MATメソッド®を再び世に出すまでに、3年という長い時間がかかりました。メソッドの考案者亡き今、その貴重な教授法を正確に伝える役割は、大きな責任とプレッシャーが伴いました。しかし、悲しみや不安の中でも、残された膨大な資料に目を通すたびに、MATメソッド®の素晴らしさに心が踊り、多くの方にこのメソッドを届けたい、という気持ちが強くなりました。

しかし一方、母のように、米国生まれのネイティブであり、明るい快活な個性こそがこのメソッドには不可欠な要素なのかも知れない、そして考案者本人でなければ上手に伝えられないのでは、と考え、自信を失っていました。

焦るばかりの日々を悶々と過ごす中、私はオンラインで小学生に英語を教えることになり、MATメソッド®を実際に使う機会に恵まれました。

するとEFL環境における英語習得にとって、MATメソッド®は実にシンプルで核心に迫った教授法であることを痛感し、再び心が踊りました。英語ネイティブでもなく、考案者でもなく、母とは対極の個性を持つ私でも、系統的に上手に英語を教えることができる、と感じられてしかたありませんでした。また、MATメソッド®の奥にある、母が根底に持っていた英語教育に対する理念も、より深く理解するようになってきました。

それでもまだ、IIEECとして新たな一歩を踏み出す勇気はありませんでした。

しかし、日々が過ぎる中で、MAT METHOD®を学びたいという問い合わせがぽつりぽつりと寄せられていました。宣伝を行っていないのに、どこからともなく訪れてくださったこの熱心な方々のために、私は2020年に好評だった動画による認定プログラムをそのまま提供することに決めました。受講者は3ヶ月間、動画を繰り返し視聴し、即レッスンで実践し、レポートを提出しました。

その結果、全員の受講者から、大変満足であったというフィードバックをいただきました。すぐに効果が出たという嬉しい報告が多数寄せられました。また、考案者である仲田自身の姿を動画でご覧いただけたことや、トレーナー陣の講義も高く評価されました。この動画でMATメソッド®の指導法が正しく伝わり、母の英語教育への思いを伝えられたことを大変嬉しく、心強く思いました。

私たちは、母が人生をかけて生みだしたこのメソッドと、長年愛され続けたこのプログラムを最大限に尊重しつつ、新たな受講者が深い理解を得て実践できるよう、あらゆる資料を見直し、補足を加えました。過去の貴重な動画は、そのまま使用することで受講者に大変喜ばれることを確認しましたが、さらに補足の動画を加えより理解しやすくしました。

日本の子どもたちが、限られた時間の中で、英語を通じて自在にコミュニケーションする力を養う。それが仲田の、MATメソッド®の目指すところです。

日々のレッスンを向上させ、効果を出し、自信を持って指導できることを目指す本プログラムが、みなさまに大いに役に立てましたら、それは私たちにとって大きな喜びです。

また、これまでMATメソッド®を学び、長年にわたってレッスンで活用してくださっている多くの英語教師の皆様にも、改めてここに心から感謝申し上げます。

IIEEC代表 黒田昌代